FNS-3242X のレビューと静音化
10G 対応スイッチの FNS-3242X を購入したのでそのレビューと静音化改造の記録です。
FNS-3242X の概要と選定理由
基本スペック
- チップセット:Realtek RTL9303+RTL8261N
- ポート数: 10GbE RJ45(4) 10G SFP+(2)
- 消費電力: 最大 24.3W
- ジャンボフレーム: 最大 10000 bytes まで(デフォルト無効)
- バックプレーン帯域幅: 120 Gbps
- パケット転送速度: 119.04 Mpps
- パケットバッファ: 12Mbit
- ファン騒音: 30dB~60dB?(可変)
- マネージド機能: あり
少し前にXikeStor SKS8300-8Xのコスパが良いと話題になっていましたが、FNS-3242Xはそれとよく似たチップセット構成になっています。ポート数は8から6に減っていますが、そのうち4つが SFP+から RJ45 になっているので大分使いやすくなっています。
このチップセットを搭載した製品は色々出ているのですが、初めから 10G の RJ45 を搭載した製品は他にあまりありませんでした。私の用途では、上位ルータとの接続や Synology NAS との 5Gbps 接続などに RJ45 が必要でした。
そして、可変ファン機能が付いているところが決め手になりました。RJ45 を使う分発熱するので放熱は大事です。SKS8300-8Xの後継であるSK8310-8Xにも可変ファンが付いているので、SFP+ポートが沢山欲しい方はこちらを選ぶのが良いかもしれません。(まだ発売されて日が経っていないようで入手性はあまり良くないようです。)
マネージド(L3)機能について
商品ページやマニュアルでは全く触れられていないのですが、他の RTL9303 搭載機種と同じようにマネージドスイッチとして使うための Web UI が搭載されています。
詳細は他の記事に譲りますが、192.168.2.1 にブラウザからアクセスし、admin / admin でログインできます。私の個体に入っていたファームウェアバージョンは 1.1.1.34 Mar 29 2025 - 06:45:57 でした。
以下の項目を変更すると良いでしょう。
- Network
- IP Address
- DNS
- System Time
- SNTP を選択し、ntp.nict.jp を設定
- Port
- Jumbo Frame
- Enable に変更
性能について
こんな感じです。
$ iperf3 -c XXX -p 5201 -n 10G
Connecting to host XXX, port 5201[ 5] local 192.168.xxx.yyy port 58059 connected to 192.168.xxx.yyy port 5201
[ ID] Interval Transfer Bitrate
[ 5] 0.00-1.00 sec 1.01 GBytes 8.71 Gbits/sec
[ 5] 1.00-2.00 sec 1.04 GBytes 8.95 Gbits/sec
[ 5] 2.00-3.01 sec 1.06 GBytes 9.07 Gbits/sec
[ 5] 3.01-4.01 sec 1.05 GBytes 9.03 Gbits/sec
[ 5] 4.01-5.01 sec 1.11 GBytes 9.55 Gbits/sec
[ 5] 5.01-6.01 sec 1.07 GBytes 9.17 Gbits/sec
[ 5] 6.01-7.01 sec 953 MBytes 7.96 Gbits/sec
[ 5] 7.01-8.01 sec 904 MBytes 7.59 Gbits/sec
[ 5] 8.01-9.00 sec 989 MBytes 8.39 Gbits/sec
[ 5] 9.00-10.01 sec 887 MBytes 7.38 Gbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bitrate
[ 5] 0.00-10.01 sec 10.0 GBytes 8.58 Gbits/sec sender
[ 5] 0.00-10.06 sec 10.0 GBytes 8.54 Gbits/sec receiver
iperf Done.
PC の性能の問題のせいか多少上下していますが、まずますではないでしょうか。
ファンの騒音
ファンの回転速度はおそらく 25% 50% 75% 100% の四段階です。
電源投入時は最大速度で回るので割とうるさいです。ファン回転数固定のモデルだと騒音が 60dB とのことでしたが、おそらくそれぐらいします。しばらく経つとファンが大分ゆっくりになり、気にならないぐらいの音になります。おそらくこの 25% 回転の状態が 30dBです。
ただ、筐体と共鳴するようでファンの音とは別の少し耳障りな音がします。もしかしたら個体差なのかもしれないですが、どうせならということで他のルーターやスイッチでもよくあるようなファン交換を試してみることにしました。
ファンのスペックと交換候補
搭載されていたファンは AFD4010BM12 でした。40mm x 10mm の 12V PWM ファンです。
これを Noctua でそのまま置き換えると候補は NF-A4x10 PWM になりますが、幸い筐体内にスペースがあるの 20mm 厚の NF-A4x20 PWM にしました。
これによりファンの性能は以下のように変わります。
- 騒音: 22.9 dBA → 14.9 dBA
- 風量: 6.13 CFM → 5.53 CFM
- 風圧: 3.28 mm H₂O → 2.26 mm H₂O
また、製品自体ノイズが 30dbA と書かれていたように、オリジナルのファンのスペックは若干盛られている気がします。トータルで考えて厚みが2倍の Noctua ファンが騒音・性能バランス比で劣るはずがないのでこれで良しとします。(実際静かになりました)
ファン交換のポイント
PC 用のファンに置き換えるにあたって注意点があります。
幸い NF-A4x20 には豊富な付属品があるので、特に何も買い足さずに対処可能です。
ピンアサインが違う
Noctua ファンのピン配列は以下になっています。
ピン配列の画像を比べてみると分かる通り出っ張りの位置が違うのに加えて、コネクタの厚さも違います。
オリジナルのネジは使えない
ファンの厚さを変えたので、元々ファンを固定したネジでは長さが足りません。防振のためにも付属のシリコンネジを使います。
使い方はマニュアルを参照。蓋をとじれなくなるので、外側を切断する必要があります。
コネクタの処理
ファンのコネクタを直接改造するのは惜しいので付属の延長ケーブルを加工します。
結線には添付のScotchlok コネクタを使うと便利です。(ペンチで圧着できます。)
結線には添付のScotchlok コネクタを使うと便利です。(ペンチで圧着できます。)
元に戻せなくても良い場合
オリジナルファンのケーブルを切断し、同梱の延長ケーブルのオスコネクタを付け替えます。結線の際は +12v(黄) の GND(黒) の順番に注意します。
元に戻せるようにする場合
延長ケーブルの中程の被覆を剥がし +12V(黄) と GND(黒)の順番を入れ替えます。
仕上がり
蓋を閉じたときの見た目はこんな感じになります。
ファン側にも防振シリコンが付いているおかげで共振のような音もなくなりました。
回転数の制御・検出も問題なく動作しており、50% 回転時も静かです。後はどれぐらい安定して動作するかでしょうか。同じチップセットで SFP+ のモデルで壊れたという話は見つけられませんでしたがはてさて。
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